「抽象度を上げる」
この言葉、少し分かりにくいかもしれません。
まず抽象度について、
たとえば「犬」の抽象度を上げると「動物」になります。
「お茶」の抽象度を下げると「飲み物」になります。
抽象度が上がると内包する情報量が増えます。
たとえば「お茶」の例でいうと、
「飲み物」というものは抽象度が高いので、
「お茶」「水」「ジュース」など複数の情報を内包します。
ですので抽象度とは視点の高さとも言い換えることができます。
この視点の高さを上げて、
物事を俯瞰して見ることが抽象度を上げるカギになるのです。
物事を俯瞰して見られる人は、抽象度が高くなり、
普通の人に見えない世界が見えてきます。
つまり抽象度の高さが、思考力であり、創造力なのです。
抽象度を上げていくことがそのまま頭を良くすることになります。
ということで、抽象度を上げるトレーニングを見ていきましょう。
抽象度を上げるトレーニング
抽象度を上げるトレーニングは色々あります。
様々な角度からアプローチしていきましょう。
そうすれば柔軟な思考力が手に入るはずです。
目の前のものを一つ次元を上げてみる。

まず一つ目です。
その方法とは、
日常で目に映ったもの何でも良いので、
何かの物体を、抽象度を一つ上げて見てみるということをしてみてください。
目の前の物の名前が頭に浮かんだら、その認識を一つ抽象的に変えてみるということ。
たとえば、
・コーヒーを飲むとき、カップをカップとしてみない
⇒食器として認識する・ネコと遊ぶとき、猫を猫として見ない
⇒動物として認識する・空を仰いだ時、太陽を太陽として見ない
⇒宇宙として認識する・クルマに乗るとき、車を車として見ない
⇒乗り物として認識する。・電話をするとき、携帯電話を携帯電話として見ない
⇒通信機器として見る・本を読むとき、本を本として見ない
⇒印刷物や出版物として見る
これらは本質を確認するということにもなります。
その物体の本来の機能を考えることが、自然と抽象化につながると思われます。
ここで、抽象度を上げて物を見るための簡単な方法をお伝えしたいと思います。
それは、
「○○という名前がついているけど、本当は何かの分類の一つだ」
と考えることです。
「目の前に置いてあるものは何の種類に当たるのだろう」
そう考えることで、抽象度の高い見方が自然と出来るようになるでしょう。
このとき、抽象度を一気に上がらないようにすると、より良いトレーニングになると思います。
たとえば、
ネコ⇒ネコ科⇒哺乳類⇒脊椎動物⇒生物
というように段階を分けることも出来ます。
ちなみに分類の仕方をさらに細かく分けると、界・門・綱・目・科・属・種のように複数あるため、抽象度はもっと細かく階層分けできます。
ちょうどいい抽象度を探ることも良いトレーニングになるでしょう。
言わば、抽象化とは物事を統合して見ていくことで、
具体化とは物事を分割して見ていくことだとも考えられます.
抽象度の理解のために具体化についても考えていきましょう。
スイス人言語学者フェルディナン・ド・ソシュールによると、
まず最大に抽象化された世界があって、そこに言語が生まれたことで神羅万象が見えるようになったそうです。

つまり、言葉が存在する前に物事や観念は存在しない、ということです。
たとえば、私が昼食に駅弁を食べます。
そして、夜にセブンイレブンでコンビニ弁当を買おうとして迷いつつ、
「まあ駅弁とコンビニ弁当は全然違うからいいか。」という気持ちでコンビニ弁当を夕食にします。

そして、アメリカ人に同じように昼に駅弁を食べて、夕食にセブンイレブンのコンビニ弁当を食べてもらうとします。
彼らにとっては、昼と夜にランチボックスという同じものを食べたことになります。
もしかしたらコンビニ弁当が出てきたときに
「oh、夜もランチボックスかよ~」と思うかもしれません。
しかし私にとっては、駅弁とコンビニ弁当は別物ですので、2食連続くらいなら「飽きた…」とは感じません。
アメリカ人と私の違いは、駅弁とコンビニ弁当という言葉を知っているか否かの違いです。
言葉を知っていることで別物だと認識できるのです。
言葉を知らない人からしたら全く違う2つの事象が、
その言葉を知らない人が見れば同じものに見えるのです。
つまり言語は世界を分割し、形作っているのだということになります。
別の例として、今度は反対に英語を見ていきましょう。
たとえば、「牛」という単語。
これを英語では、雌牛はcow、去勢した雄牛をox、去勢しない雄牛をbull、子牛をcalf、といったように別の単語で使い分けます。

日本語ならオスの牛、メスの牛というように、牛という一単語で表すのに対し、
英語ではそれぞれに固有の単語が与えられているのです。
つまり日本人ならば同じ牛として見ている動物を、
英語圏の人々は全く異なる4種類の動物として見ているということになります。
弁当と牛の例のように、
言葉が現実を分割していくという性質を持っていることを覚えておいてください。
名付けとは具体化なのです。
つまり具体化とは、抽象度を下げて細分化していくことです。
ということは言葉を上手く扱えるようになることは、
抽象度を自在に操る訓練にもつながるのです。
苫米地博士は言葉によって作り上げられる世界のことを、言語空間と呼んでいます。
そして言語空間の抽象度は比較的高いところにあると言います。
そういったことから、言語空間に入ることも抽象度を上げるトレーニングになると述べています。
では言語空間に入るためにはどうすればいいのかというと、
それは簡単で、本を読めば良いのです。
読書する

苫米地博士は一日3冊の読書を推奨しています。
3冊だとどうしても難しい場合は最低でも一日1冊は読んでほしいということです。
上で述べたように、言語が世界を作るという性質を持っている以上、
言語空間を広げていくことが視野を広げ、抽象度の操作能力を上げていきます。
ぜひ読書の習慣を付けていきましょう。
言語が世界を作るということは、
つまり言葉を聞く人の見る世界を変えるということです。
苫米地博士は「言語による束縛は洗脳の一つだ」と言っています。
つまり読書によって言語空間に入り、その束縛を知ることが大事なのです。
言語空間を体感的に理解することで束縛から解放されていくでしょう。
そのための読書です。
ではどんな本を読めばいいかというと、
ジャンルを限定せずに多読することがおススメの方法となります。
興味がない分野も読むことで、視野が広がり創造的な思考力が鍛えられていきます。
具体的な方法としては、売れている本をかたっぱしから読むことです。
ベストセラー・ランキングの1~100位を漫画やゲーム本などを外して読むのがいいでしょう。
本を読んだ後は、どうしてこの本がベストセラーになったのか考えます。
そうすることで、思考力の訓練になります。
本の優れた点や、世の中の需要を複合的に考えることで
広い視野でものごとを考えられるようになるのです。
これにより抽象度は上がっていきます。
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