今回は、東洋的に見た世界と、
西洋的に見た世界を比較していきます。
とは言っても、東洋と西洋という言葉自体はよく聞きますが、
そのイメージはまちまちだと思います。
一つの例として、
西洋医学と東洋医学を考えてもらえば分かりやすいかもしれません。
部分的な治療で即効性のある西洋医学と、
全体的だけど効果がすぐに見えない東洋医学は、対極的ですよね。
他にも、色々な分野でその思想の違いが表れています。
それを観察してみると色々な発見があります。
というわけで、今回は3つの視点から西洋と東洋の見方を比較してみます。
西洋的な見方と東洋的な見方を理解することで、
より広い視野で世界を捉えることができるでしょう。
逆にどちらかを切り捨てるような考え方は危ないかも。
ぜひ確認してみてください。
西洋的な見方と東洋的な見方を見てみよう
これから3つの視点で東洋と西洋の思想をみていきます。
それぞれの視点から見える共通点なども考えてみてください。
日常の視点
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東洋と西洋の見方の違いについて、こんな分かりやすい言葉があります。
「西洋人は木を見て、東洋人は森を見る」
細部に注目するか、全体を見るかの違いですね。
西洋は個人や論理を重視し、東洋では集団や関係性を大事にします。
この思想を表している実験があります。ご紹介しましょう。
以下のような質問をして、東洋と西洋の人に答えてもらう、という実験です。
問題1:ニワトリ、草、牛を2つのグループに分けてください。
どういう分け方になりますか?
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このとき、東洋人の多くは「牛と草」を同じグループとしてくくります。
これは、牛は草を食べる、という関係性に着目して選んでいるのです。
西洋人は、「ニワトリと牛」をくくります。
理由はどちらも同じ動物だということ。
つまり人間が作り出した「動物」という絶対的な尺度を重視しています。
こんな問題もあります。
問題:風船が空を漂っています。その風船が突然速度を上げて飛んでいきました。なぜ急に飛んで行ったと思いますか?
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このとき、東洋人の思考だと、風が吹いたから。
そして西洋人の思考だと、風船から空気が出たから、となります。
これは、東洋人の場合は周りとのつながりを重視する考え方を持っているため、
周りの風に影響を受けたと考えがちなのです。
西洋人の場合は、風船という主役に注目しているため、
風船自体が行動したと考えます。
このように思考のクセのようなものがあるのが、お分かりいただけるでしょうか。
ちなみに、これらの考え方はあくまで傾向の話です。
西洋にも東洋寄りの見方の人もいますし、逆もあります。
そして日本人の中でも、西洋寄りと東洋寄りの人がいます。
歴史上、西洋文化を取り入れてきたことを考えると納得できると思います。
考え方が西洋寄りか、東洋寄りかは、
生まれ育った環境が同じ家族とならほぼ一致しますが、
他人と比較すれば結構分かれるかもしれません。
友達や知り合いがどちら寄りの考え方か分析してみるのも面白いです。
誰かと考え方が合わないと感じたときは、
もしかしたら相手が、自分と違うほうの思考パターンなのかもしれません。
相手と価値観が違いすぎて理解できないというときでも、
東洋と西洋の思考パターンの違いが分かっていると、なんとなく受け入れやすくなるはずです。
医学的視点
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東洋医学と西洋医学がありますよね。
病院で行われている医療の9割は西洋医学ですが、
最近少しづつ東洋医療も取り入れられてきています。
いわゆる「統合医療」というものですね。
西洋医学は解剖学や生理学を中心に発達した学問で、
その起源はルネサンス時代、15世紀の頃です。
そして東洋医療の歴史はこれより古く、
2000年前の古代中国が起源だと言われています。
そして、その後7世紀頃に日本に伝わってきました。
東洋医学では、灸や鍼治療、また漢方薬などが知られていますよね。
これらのように、体の内側から全身に働きかけるような治療が東洋医療です。
病気になる前に防ぐという考え方でもあります。
「未病」という言葉もありますね。
一方、西洋医学は投薬や手術を行い、悪い箇所に対して部分的に働きかける治療法です。
速攻性という点で西洋医学はとても優れています。
しかし東洋医療も、
体にメスを入れず時間をかけて根本から病気を治していくため、
体に負担がかからないというメリットがあります。
どちらにも長所と短所があるため、補い合うことが必要です。
最近だんだんと統合医療という考え方が広まってきており、
柔軟な体制が整ってきているのではないでしょうか。
医療においても、木を見るか森を見るかの思想が見えてきます。
体の一部に着目してピンポイントで対処する西洋医学と、
体全体を見て根本からじっくりと病を治していく東洋医学、どちらも有効な治療法です。
認知的視点
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我々は五感を使って現実を見ていますが、
世界の見方も西洋的、東洋的の2種類に分けることができます。
「現実」を簡単に定義すると、
現在、臨場感があって目の前に広がっている世界のことです。
西洋的な見方では、もともと宇宙という世界が存在していて、
そこに心を持った一人一人の存在があることになります。
そして個人個人の心による世界がひとり一つづつあるのです。
これは、物理世界=外部世界、という考え方です。
外部世界というのは、世界を内部表現と外部世界の2つに分けたときの自分以外の世界。
内部表現とは、脳と心が認識しているすべての空間を意味します。
内部表現とはつまり、この世界は脳が認識している内部表現であり現実世界だという捉え方になります。
たとえば、映画「マトリックス」では、
目で見える情報や、感触や痛みなどの情報をただ認識するのではなく、
脳幹に刺さったインターフェイスを通して脳へ送り込んでいます。
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そうすると、あたかもその情報が
リアルタイムで感じている現実世界として見えるというものです。
これは映画の話ですが、
実際に西洋的な見方では、五感から入ってくる情報ではなく、
コンピューターが情報処理して脳に入れるようにして作られた世界が、
個人が見える現実として認識されています。
つまりまとめると、外部世界が存在してはいるが、それを個々人のカメラとコンピュータを通して見ていると言う考え方です。
一方で、東洋的な見方では、外部世界は最初から存在しない、と言う考え方をします。
脳が認識している内部表現しか存在しないと言う捉え方なのです。
宇宙と言うのは内部表現だけで構成されており、外部世界は無い、と言うことです。
西洋的見方でも主観的に見える世界の重要度が高いのですが、
東洋的な見方ではそれも超えて、もともと外部世界を意識していません。
これらは恐らく、科学はもちろんですが哲学や宗教観からも来ているものでしょう。
西洋的な見方と東洋的な見方を統合して考える
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私たちには、西洋的な見方と東洋的な見方を使い分けること、
そして、両者を統合して考えることが必要です。
なぜなら片方だけでは見えない世界というのがあるためです。
例えば東洋医学が全く効かないと言うこともあり得ますし、
西洋医学では説明できない症状と言うのもまだまだあります。
「どちらが優れている」ではなく、
両方を加味して、使い分けられるようになるのが良いはずです。
また現実的には統合的に考えてみるのも良いと思います。
つまり、両者の認知方法を統合して、
外部世界と内部表現が同じものだと考えるのです。
例えばホラー映画を見て、怖くて鳥肌が立つ事があると思います。
人間の脳からすると映画の世界がまるで物理世界であるようにリアリティーを感じるのです。
これは認知科学的に、情報世界が現実世界と等しいことになります。
「物理が先、情報が先」というよりも物理と情報が重なり合っているいう事です。
この2つを「具体・抽象」の抽象度という視点で捉えると、物理空間は抽象度が低く、情報空間は抽象度が高いと言うことになります。
物理空間では思考を働かせなくても鮮明にモノが見えるのに対し、
情報空間では、脳でイメージを作り、そして言語を使って他人と共有するため、
情報空間のほうが抽象度が高いということは、ご理解いただけるのではないでしょうか。
これはつまり物理空間と情報空間は連続していて、
物理空間は情報空間の抽象度を下げたものだという考え方です。
まとめ
西洋的な見方と東洋な見方を3つの視点から考えてみましたが、
なんとなく両者の違いと傾向が感じ取れたでしょうか?
日常でも、身の回りの人や物について
「これはどっち寄りだろう?」
と考えながら過ごしてみると新しい発見があるかもしれません。
身近な人に牛草鳥と風船の質問をして、答えを聞いてみましょう。
当ブログでは以上のような知識欲を刺激する記事を書いていきます。
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